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最高裁判所第一小法廷 昭和31年(オ)777号 判決 1958年6月19日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告人ら代理人弁護士前田茂の上告理由について。

しかし、原判決の確定した事実によれば、所論上告人らの連帯保証の対象となつている主債務は上告会社が被上告組合に対して負担する既存の又は将来負担することあるべき約束もしくは為替手形上の債務であるというのであるから(所論にいわゆる上告会社が被上告組合に将来負担するであろう一切の債務について本件保証が適用あることに関しては原判決は何ら言及していない)、右主たる債務は右約旨の程度を以て十分に特定されているものと認めるを相当とするばかりでなく、このような場合主債務が特定されているというがために、所論のように主債務の現実に発生する時期、もしくはその最低限度額が明定きれていなければならないわけのものではなく、またその点に関する取りきめがないからといつて、右保証契約が当然に無効となり、或は公序良俗に反するが故に無効となると云いうるわけのものでもない。そして右約定に基いて現実に発生した本件手形債務について、上告会社に対し判示内容の保全処分があつたからといつて、保証債務の附従性の故に、所論上告人らに対してその取立が禁止されているものと云わなければならない筋合があるわけのものでもない。所論はひつきよう原判決の確定していない事実を想定し、かつ叙上に反する独自の見解の下に原判決を攻撃するものであつて、採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、八九条、九三条、九五条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

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